従業員からの退職に会社の許可はいりませんが、予告期間は必要です

会社を退職する場合、できれば円満に退職したいところですが、なかには上司が退職届を受け取ってくれないといったことに困っている方もいらっしゃいます。

ご相談にいらっしゃる方は、退職するには会社の許可が必要だと思って相談にいらっしゃるのですが、退職するにあたって会社の許可を取る必要はありません。
法律上の条件さえ満たしていれば、一方的にやめることができます。

では、法律上どうなっているかというと、期間が定まっている労働契約の場合は、期間満了まで退職できません。
期間を定めない労働形態の場合(一般的な雇用形態の場合)、従業員側からの退職の申し出はいつでもできます。
ただし、退職申し出から、退職の効果が生じるまでは一定期間が必要です。
具体的には民法627条で以下のように定められています。

1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

ちょっと分かりにくいですが、以下のとおりです。

1 原則は、退職の申し出から2週間で退職となります。

2 6か月未満の期間で報酬が決められている場合(月給制など)、その期の前半に退職を申し出なければならず、後半に申し出た時は、翌期間で退職となります。
つまり、月給制で5月末に辞めたいと思ったら、5月15日までに退職することを伝えなければならないということです。
5月16日以降にやめたいと申出ると6月末退職となります。

3 6か月以上の期間で報酬を決めた場合(年棒制など)は、やめようと思っている期の3か月前に退職を申し出なければならず、それ以降だと翌期末に退職となります。

法律上は、以上のとおりなのですが、就業規則などで、もっと長い予告期間を定めがある場合があります。
この場合はどうなるのでしょうか?

この点、民法より長い退職予告期間を定めた就業規則を無効とする裁判例もあります(東京地方裁判所昭和51年10月29日判決)。
しかし、職務内容等から合理的な期間であれば有効とする意見もあり明確な結論は出ていません。
なんともあいまいな結論で申し訳ありませんが、
・経営者の方は、就業規則が無効とされる場合がある
・従業員の方は、1か月程度なら就業規則が有効とされる場合がある
くらいに考えておいた方がいいでしょう。