解雇問題(経営者側)

解雇には、懲戒解雇とそれ以外の解雇(普通解雇)があります。
普通解雇の中でも整理解雇(リストラ)は、裁判例も多く、ある程度定型的な判断がされているので、整理解雇とそれ以外の普通解雇に分けて考えるのが一般的です。
それぞれの解雇の概要は、従業員向けのページに書いたので、とくに会社側の立場の注意点を記載いたします。

1 就業規則に記載があるか?

整理解雇を除く普通解雇、懲戒解雇をする場合は、どのような行為が解雇の理由となるのかを就業規則等に記載しておく必要があります(労働基準法89条3号)。
なぜなら、どのような行為が解雇の理由になるか分からないと、従業員としては怖くて委縮してしまうことになるからです。

2 注意・警告を記録として残しているか?

実際にご相談を受けて最も困るのが、その従業員の問題行動を証明できないということです。

ご相談にいらっしゃった人事担当者の方の話を聞く限りは、当該従業員の勤務態度等に問題があるように思うけれど、その行動を会社が注意した記録などがないのです。

「同僚の証言ではだめなのか?」と思われるかもしれませんが、会社の従業員ですから、信用性は、ある程度差し引かれて判断されてしまいます。

ですから、従業員が問題を起こしたら注意や警告を文書で行う、能力的に問題があるならば具体的に指摘し、改善を求めたり、研修を受けさせる等のことをし、それを記録に残しておくことが重要となります。

3 従業員に弁明の機会を与えたか?

とくに懲戒解雇の場合に問題となりますが、従業員の問題行動を一方的に決めつけていないかという点も解雇の有効性を判断するうえで重要なポイントです。

従業員に問題があると感じたら、話を聞く機会を作ったり、書面で反論を提出させるなどし、それを記録に残しておきましょう。

4 従業員に説明を行ったか?

解雇の前に従業員に解雇理由を説明することも重要です。
解雇の有効性の判断においても重要となりますが、なにより十分な説明をしておけば、突然従業員に訴えられるという確率も低くなります。