副業をする場合の残業代支払い義務者は?

1日8時間以上、週40時間以上のいずれかを超えた場合には、基本給を割増しした金額の給与(残業代)を支払わなければならないことはご存知かと思います。
では、社員が副業をしている場合、残業代の計算と支払い義務者はどうなるのでしょうか?

1 労働時間の考え方

まず、残業代発生要件となる1日8時間、週40時間については、労働者単位で考えます。

つまり、1日に、1つ目の会社で5時間、2つ目の会社で5時間働いた場合、2つ目の会社の4時間目から割り増し賃金を支払わなければならないということになります(労働基準法38条、基発第769号)。

自社で8時間を超えていないから大丈夫だろうと思っていたら、あとで割増分を請求されることになりかねないので気を付けてください。

2 残業代を支払うのはどちらの会社か?

では、1日合計8時間を超えている場合、割増賃金を支払うのは、どちらの会社かが問題になります。

この場合、割増賃金の支払義務を負うのは、労働契約を後から締結した方(あとで就職した方)となります。

なぜなら、あとで契約した会社は、面接等で他の仕事をしていないか確認することができるからです。

1日の労働時間に着目して、後に働いた方ではないので注意してください。

上記1のように、1つ目の会社で5時間働いたあと、2つ目の会社で5時間働いた場合でも、もともと2つ目の会社で働いていて、早朝に副業(1つ目の会社)を開始したような場合は、1つ目の会社が割増賃金を支払うことになります。