被相続人死亡後、遺産分割前に遺産の使い込みがあったときの対応

被相続人が亡くなったあと、一部の相続人が相続財産を処分した場合、処分した者以外の同意で、勝手に処分した財産は、みなし相続財産となります(2018年改正後)。

ちょっと分かりにくいですね。

たとえば、父親と同居していた息子が、父親が亡くなったあと、金融機関口座が凍結される前に勝手にお金を引き出していた場合、他の兄弟は、その引き出したお金を相続財産として扱うことができるということです。

当たり前のようですが、実は、遺産分割の原則は、死亡時に存在した被相続人の財産で、かつ、遺産分割時に存在しているものを分けるということになっています。

すると、上記のように、同居の息子が勝手に被相続人の預金を引き出した場合、遺産分割時には、既に存在しないので、兄弟達は勝手に引き出した分を遺産分割として要求することはできないのが原則です。

しかし、この原則を貫くと、使い込まれた遺産の取戻し方法は、勝手に引き出したのは違法だとして損害賠償請求をするか、法律上の権利なく勝手に引き出したのだとして不当利得返還請求をして取り戻すしかなくなり、非常に手間がかかります。

そこで、勝手に引き出した者以外の相続人が全員が、遺産分割手続で解決することに同意した場合には、損害賠償や不当利得ではなく、遺産分割手続の中で解決することができます。

もっとも、勝手に相続財産を処分したと言われた方が、勝手に使ったのではないと主張したように、そもそも、勝手に相続財産を処分したのかどうかが争いになる場合には、別途、みなし遺産確認の訴えを行う必要があります。

また、一部の相続人が、みなし相続財産として処理することに反対したような場合には、原則通り、不法行為に基づく損害賠償請求か、不当利得返還請求を行う必要があります。

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