包括遺贈を受けた者が寄与分を主張できるか?

遺産を誰かに譲るという遺言がある場合を遺贈といいます。
この遺贈の中でも、具体的な物を指定せず、ただ遺贈の割合のみをしていした場合を包括遺贈といいます。

たとえば、亡くなったAさんが、「遺産の3分の1はBに譲る」という遺言を残していた場合は、包括遺贈となります。

ここで、Bさんが法定相続人であれば、相続財産から寄与分を控除したあとの財産の3分の1を別途Bさんが譲り受けることになります。

では、Bさんが法定相続人ではないけれど、Aの介護などをしていた場合に寄与分の主張はできるのでしょうか?

寄与分に関して定めた民法904条の2第1項が、寄与分を主張できるのは「共同相続人」=法定相続人であると定めている一方で、民法990条が「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」とされているため、両者の関係が問題となります。

この点については、民法990条が、包括受遺者を相続人と同一に取り扱うとしていることから、民法904条の2第1項の「共同相続人」には、包括受遺者も含まれると考えます。

つまり、包括受遺者も寄与分を主張できるということになります。

その結果、上記の例では、他人であるBさんは、まず、介護による寄与分を主張し、その分を差し引いた相続財産の中から3分の1をもらえるという関係になります。

もっとも、法定相続人以外の者への包括遺贈は、生前の貢献に対するお礼的意味でなされることが多いことから、すでに寄与分について考慮済みとも考えられます。

そこで、実際には、裁判所は、包括受遺者の被相続人の財産への貢献度と、遺言によって受け取ることになる財産との全体のバランスをみて、別途寄与分を認めるかどうかを判断することになります(民法904条の2第2項)。

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