遅延証明書をもらうと遅刻でも給料が支払われる?

電車通勤の場合、電車が5分以上遅れた場合には遅延証明書をもらうことができます(5分程度だと貰わない方も多いでしょうが)。

では、電車の遅れのために仕事に遅刻した場合、遅刻分は給料が引かれるのでしょうか?
それとも、遅延証明書さえもらっておけば、労働者の責任ではないという理由で給料支払い義務が発生するのでしょうか?

この点については、民法に明確な規定があります。
民法は、2020年4月から新しくなるので、新旧両方の条文を紹介しますが、ほぼ同じ規定です。

~2020.3.31の民法
536条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。

2020.4.1~の民法
536条1項
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる

この条文からすれば、電車の遅れという当事者のどちらも悪くない理由で、仕事という債務をおこなうことができなくなったときは、労働者(仕事をするという債務を負う者)は、給料という反対給付を受ける権利がない。
つまり、遅刻分の給料は発生しない

もっとも、賃金規定などで遅延証明書がある場合には、給与を支払う旨を定めている場合もあるので、ご自身の会社にそのような規定がないかは確認してください。