親族を雇っている場合の減給や解雇

経営者が、親族を従業員として雇っている場合、離婚や兄弟喧嘩などを機に解雇を言い渡されたり、減給されたりするということがあります。
では、そんなことは法律上許されるのでしょうか?

1 原則

たとえ親族でも労働者であることに変わらないため、労働基準法の適用があります。
ですから、経営者が合理的理由もなく、一方的に解雇や減給を言い渡すことは違法です。
解雇や減給をするには、一般の従業員と同様に就業規則に基づく解雇原因や、減給の合意などが必要となります。

2 例外

① 従業員が同居の親族のみの場合

上記の通り、原則として親族が従業員の場合でも労働基準法の適用がありますが、労働基準法116条2項は、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」との例外を定めています。

ですから、従業員が同居の親族のみの場合は、一方的な解雇や減給が有効となってします可能性があります。
なお、文言通り「同居」の親族なので、親族であっても別居している場合には、この規定は適用されません。

② 実際には働いていない場合

良いか悪いかは置いておいて、青色申告の際に専従者給与の優遇を受けるために、実際には働いていない家族について、給料を支払ったことにしている方がいらっしゃいます。
このような場合、その家族は、実際には働いていないし、給料ももらっていません。

このようなケースについて、根拠となる裁判例や文献を見つけることができませんでしたが、もともと帳簿上の操作がされただけで、実際に給与が支払われていなかったのですから、書類上、解雇や減給にしても、当事者間では問題はないと考えます。